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WMS(倉庫管理システム)とは?導入メリットや在庫管理システムとの違いを解説

WMSとは「Warehouse Management System」の頭文字をとった略称で、物流の入荷から出荷までの一連の業務における効率化を行い、一元的に管理する倉庫管理システムのことを指します。WMSは主に、製造業、倉庫業、卸売業、3PL業、小売業、通販・EC業などの物流倉庫で利用されています。
本コラムでは、WMS(倉庫管理システム)とは何をするツールなのか、また導入メリットや、基幹システムでの在庫管理システムとの違いを分かりやすく解説していきます。
※3PLとは・・・「Third Party Logistics」の略語で、 荷主会社に代わって第三者(サードパーティー)が効率的な物流システム構築の提案を行い、物流業務の企画・設計・運営までの全体を一括して請け負う業態をいいます。
WMSの目的
近年では、消費者ニーズの多様化やネット販売の成長拡大が著しい一方で、人手不足が深刻化し、限られた人数での運用が余儀なくされています。しかしそれでも、日本の物流は遅延なく正確なモノの供給が求められており、今では物流は経営戦略として位置づけられるようにもなりました。
こういった経緯からWMSの目的は、生産性向上、正確化、データ化、作業進捗の可視化などであり、デジタル技術の活用が企業の成長に大きく関わってくることと思われます。
WMSと在庫管理システムの違い
では、ここで「WMS」と基幹システムに含まれる「在庫管理システム」の違いをご説明していきましょう。一見、どちらも同じことを言っていると思われる方もいらっしゃるかと思いますが、それぞれ管理対象や範囲、機能が異なっています。
◆WMS・・・モノの流れ(物流)を管理している

まず「WMS」は、物理的な倉庫内作業の効率アップが目的なので、入庫から出庫までの一連の作業(モノの流れ「物流」)を管理するツールです。したがって、在庫の正確な数量(実在庫)を把握し、モノ(製品等)がどこにあるかなど作業面において正確にスピーディーに運用できるように細かく管理するのが「WMS」の特徴です。
※実在庫とは・・・倉庫や店舗に実際に保管されている在庫数量のことです。実在庫は実際に現場で確認できる在庫を指します。反対に、帳簿やシステムに記録されている在庫数量は理論在庫と言います。
WMSは、倉庫内におけるモノ(製品等)の管理に加え、ヒト(人員)、コト(作業)も管理する対象となります。
◆在庫管理システム・・・お金の流れ(商流)に焦点を置いている

片や、基幹システムに含まれる「在庫管理システム」は、販売戦略における管理を目的としているツールです。そのため収益性(お金の流れ「商流」)が絡んでいます。
そもそも、基幹システムとは企業の事業経営に関わる情報を管理します。例えば、労務管理・生産管理・財務管理などがあり、ヒト・モノ・カネに焦点を置き、事業を進めるのに必要な情報を管理するシステムです。モノの流れ(物流)を管理するWMSに対し、基幹システムはお金の流れ(商流)に焦点を置いています。
なので、ここで指している基幹システムに含まれる在庫管理システムは、在庫状況(理論在庫)を把握し、過剰在庫を削減することなどに役立ち、会社の利益拡大に貢献します。
WMSで物流を細かく管理した情報を、基幹システム内の在庫管理システムに連携することにより、企業経営に必要な情報を集約できるので確実な事業を続けられるということになります。

事業規模によっては、WMSを導入せずコストを抑え、基幹システムの在庫管理システムのみで運用を賄う場合もあります。WMSの導入を検討される場合は、プロに現場の運用等を共有の上、ご相談されることをおすすめします。
いずれにせよ、「WMS」も「在庫管理システム」も効率的な運用と最適化を目的としたツールという点では同じですが、管理する対象や機能が異なるということです。
WMSを導入するメリット
続いて、WMSの導入メリットを見ていきましょう。
主に以下のようなメリットがあります。
- 在庫データの正確化、データ化
- 現場作業の効率アップ、業務の見える化
- 属人化せず、誰でも作業できる運用統一化
① 在庫データの正確化、データ化ができる
WMSを導入すると、倉庫内の在庫状況を正確に管理することができます。ハンディターミナルで情報を記録するためリアルタイムの状況を把握することが可能になります。クラウド型WMSであればインターネット環境があればどこからでも確認することができます。ExcelやAccessと比較しても、よりリアルタイムの在庫情報を取得できます。
また、データ化することで簡単に社内共有できたり、過去の実績を参照したりなど、多くの場面で役立てられるのも良い点です。
② 現場作業の効率アップ、業務の見える化ができる
WMSの導入で現場作業者が最も嬉しいポイントと言えるのではないでしょうか。在庫状況が一瞬で把握でき、作業工数の削減により、作業の簡単化、時間短縮を実現することができます。また、ハンディターミナルやスマートフォンで記録しながら作業するので、作業進捗や作業時間をきちんと把握できます。これは導入する企業様の人員管理においても役立つでしょう。作業者にとっても、企業様にとっても、メリットが大きいと言えます。
③ 属人化せず、誰でも作業できる運用標準化が可能になる
現場の課題として多く挙げられるのが、現場作業者によってやり方が異なっていることや、熟知している方が退職されたらやり方が分からなくなってしまっているなどです。WMS導入となると、作業手順やルールが明確になっているので、アナログ作業のような煩雑な手間が無くなり作業も簡単になることから、ミスの削減に繋がり、運用方法の統一ならびに標準化を図ることも可能になります。
これにより、ミスの削減、担当者に依存しない長期的に安定した運用を目指すことが可能になります。運用の標準化ができると、必要な人員を割り出せて最適な人員配置を整えられるため導入企業様の管理メリットに繋がります。
WMSの機能
◆基本機能
WMSの基本機能には、次のようなものがあります。
- 入荷
- 入庫
- 出庫
- 出荷検品
- 棚卸
ほとんどのWMSには、これらの基本機能が備わっています。 それぞれどういった機能なのかを詳しく見ていきましょう。
◆入荷検品
倉庫に入ってきた商品を検品します。予定していた商品の種類や、数量をチェックします。
当社の@wmsは、予定との差異がある場合、実績ベースでの受け入れも可能です。
◆入庫
入荷検品した商品を保管エリアへ商品を格納し、保管ロケーションを確定します。
◆出庫
出荷依頼のあった商品を棚(保管ロケーション)からピッキングします。伝票数、アイテム数などによって、様々なピッキング方法があります。
◆出荷検品
ピッキングした商品が出荷依頼情報と、種類や数量が間違っていないかを確認します。誤出荷を防止するため、出荷前の検品は重要な作業と言えるでしょう。
当社の「@wms」は、送り状や納品書の検品も可能です。
◆棚卸
保有する在庫品(商品など)の数量や状態を実際に確認し、帳簿上の記録と合っているかを確認します。棚卸は定期的に実施する必要があり、規模によっては限られた期間で行うため人手も多く要します。システムを活用することで、最低限の人員数で効率化することができます。
在庫管理システムには無い、WMS独自の機能
前述の基本機能に加え、WMS独自の便利な機能があります。基幹システムには無く、WMSにはある特有の機能をご紹介します。
※製品ごとに機能は異なります。
◆在庫照会
先程メリットでもお伝えしましたが、在庫のリアルタイムな情報を管理することができるのはWMS特有の機能です。どの商品がどのロケーションにあるかなど、あらゆる条件を絞って在庫照会をすることができます。当社の「@wms」は発注点切れ(※)在庫照会の機能も備わっていますので、発注点切れ警告リストにて確認可能です。
※発注点切れとは・・・在庫管理において「発注点」と呼ばれる基準値を在庫量が下回ったことを指します。発注点とは、在庫が一定量に達したら発注をかけるために設定される在庫水準です。
「@wms」の発注点の設定方法は、自動設定と任意設定より選択できるようになっています。
◆日付け管理
入荷日・製造日・賞味期限の管理ができます。賞味期限の近いものから引き当てをかけるなど、先入れ先出しが可能となります。また、出荷先・商品ごとに逆転がないように出荷引当を実施できます。
◆ロケーション管理
倉庫内の商品の保管スペースを細かく分割して、商品ごとに場所を示す住所を割り振って在庫を管理する機能です。ロケーション管理をすることにより、倉庫内の商品を見つけやすくしたり、データで在庫を管理したりすることも可能となります。また、入出荷作業において正確性と速さ、いずれにも有効的です。
ロケーション管理には、
・固定ロケーション
・フリーロケーション
・ダブルトランザクション(固定ロケーションとフリーロケーションを組み合わせて管理する方法)
などの方法がありますので、自社にあった方法を選択すると良いでしょう。
「@wms」のロケーション管理は、フリーロケーションに対応しています。推奨ロケーション管理も可能です。
◆複数拠点管理
「@wms」では複数拠点、複数荷主の在庫を1つのシステムで管理できるため、拠点ごと、荷主ごとにシステムを導入する必要がなく、業務の効率化ができるほか、システム導入に関わる費用を削減することができます。また、クラウド型のシステムなので、インターネットを通して外部からもPCやスマートフォンのブラウザなどで在庫数を確認することが可能です。
WMS導入がおすすめなケース
ここまでWMSの機能や導入メリットをご説明してきましたが、今自社が導入するタイミングであるかの判断に迷うことがあるかと思います。そのような時は下記の項目を導入の目安として参考にしていただければと思います。
- 扱う商品アイテム数が多くなってきた
- 1日の出荷量が多くて作業が追いつかなくなってきた
- 誤出荷が減らない
- 同業がシステム導入により、作業効率をあげている
このような場合は、WMSの導入がおすすめと言えるでしょう。
ただ、当社では、現状のお客様の運用をヒアリングさせていただき、WMSほどの大きいシステムが必要ないと判断した場合は、お客様の課題に合った方法や別のソリューションをご提案させていただく可能性もございます。WMSが自社に合っているのかなどを一度調べてみるだけでも有益だと思います。
アトムの「@wms」

当社の「@wms」は、基幹システムと連携いただく倉庫管理システムです。商品の入荷や出荷、在庫管理をクラウドでご利用いただけます。ハンディターミナルやスマートフォンなどを活用して、物流現場で起こりがちな誤出荷の防止や、帳簿上の理論在庫ではなく実際に現場にある実在庫を正確に管理することで基幹システム等の理論在庫との差異を防ぎます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本コラムでは、WMSのメリットや機能、基幹システムの在庫管理システムとの違いについてお伝えしてきました。商流、物流で目的が違うので、きちんと分けてそれぞれの部門で専門的な視点やノウハウで業務を遂行することで、業績アップ、生産性向上に寄与します。したがって、基幹システムとWMSを連携の上、運用していただくのがおすすめです。
お伝えしたWMSの導入メリットのほか、人件費削減や残業時間削減などのコスト削減も大きなメリットとなります。また、作業を効率化、標準化することで、現場作業者のストレスも軽減し、ミスやトラブルなどの発生を防げるのも利点と言えるでしょう。
弊社は、お客様の物流における課題・お悩みを解決することをゴールとしています。ヒアリング(無料)させていただき、貴社に合った最適な改善案をご案内いたします。物流現場のお悩みがありましたらまずはお気軽にご相談ください。