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2026.02.24

帳簿在庫とは?理論在庫との違いや棚卸での差異の調整方法

帳簿在庫とは、在庫管理の帳簿上で記録されている在庫数量のことです。 日々の入出庫データを基に計算されるため、理論上の在庫数を示します。 しかし、実際に行う棚卸での実数と差異が生じることも少なくありません。 

この記事では、帳簿在庫の基本的な意味から、実地在庫との差異が発生する原因、そしてその差異を調整するための会計処理の方法、さらには在庫管理の精度を高めるための具体的な対策について解説します。

帳簿在庫とは?計算上で管理されている在庫のこと

帳簿在庫とは、会計帳簿や在庫管理システムなどのデータ上で管理されている在庫の数量を指します。 具体的には、現在の在庫数に入荷数を加え、そこから出荷数を引くといった計算によって算出される理論上の数値です。 このデータは、日々の取引、つまり商品の仕入れ(入庫)や販売(出庫)が行われるたびに更新されます。 

企業は帳簿在庫の数値を基に、発注計画の立案や販売戦略の策定、さらには決算時の売上原価の算出を行うため、その正確性が経営上、極めて重要になります。

帳簿在庫と混同しやすい関連用語との違い

在庫管理を行う上では、帳簿在庫以外にもいくつかの専門用語が使われます。 特に「理論在庫」や「実地在庫」は混同されやすい言葉ですが、それぞれの意味には明確な違いがあります。

理論在庫との違いは?基本的には同じ意味で使われる

帳簿在庫と理論在庫は、実務上、ほとんど同じ意味の言葉として用いられます。 どちらも、日々の入出庫データを基に計算された、帳簿上あるいはシステム上の理論的な在庫数を指すためです。 仕入れた商品の数から払い出された商品の数を差し引くことで算出されるこの数値は、物理的な確認を経ずにデータのみで管理されている点が特徴です。

 したがって、「帳簿在庫」と「理論在庫」という言葉が出てきた場合、特別な文脈がない限りは、同じ概念を指していると解釈して問題ありません。 どちらの用語も、実際の在庫数である「実地在庫」と対比する形で使用されます。

実地在庫との違いは?実際に倉庫にある在庫数との比較

実地在庫とは、倉庫や店舗などで実際に保管されている在庫を、一つひとつ目視で数え上げて確認した数量のことです。 実在庫とも呼ばれ、棚卸作業によって把握されます。 

一方、帳簿在庫はあくまでデータ上の計算値であるため、入力ミスや商品の破損、盗難など、さまざまな要因で実地在庫と差異が生じることがあります。 この帳簿在庫と実地在庫の差を「棚卸差異」と呼びます。 在庫管理の目的の一つは、この差異を可能な限りゼロに近づけ、データ上の在庫と実際の在庫を一致させることにあります。

企業が帳簿在庫を正確に管理すべき理由

企業にとって、帳簿在庫を正確に管理することは、経営の根幹に関わる重要な業務です。

会社の利益を正しく計算するために不可欠

帳簿在庫の正確な管理は、企業の利益を正しく計算する上で欠かせません。 会社の利益は「売上高-売上原価」で算出され、この売上原価の計算には期首と期末の在庫評価額が直接的に関わります。 もし帳簿在庫の数値が不正確で、期末の実地在庫数が帳簿より少なかった場合、その差額は棚卸減耗損として売上原価に加算されるため、結果的に利益が圧迫されます。

 逆に在庫が多ければ利益が過大に計上されることになり、実態とは異なる経営状況を示してしまいます。 利益がマイナスになる事態を避けるためにも、在庫管理の精度は極めて重要です。

欠品や過剰在庫を防ぎ販売機会の損失をなくす

正確な帳簿在庫の管理は、販売機会の損失防止とキャッシュフローの改善に直結します。 帳簿上の在庫数を信じて販売活動を行った結果、実際には在庫がなく欠品していた場合、顧客の信頼を失い、売上を得る機会を逃してしまいます。 

逆に、実際よりも在庫が多いと帳簿上で認識していると、不要な発注を行ってしまい、過剰在庫を抱えることになりかねません。 過剰在庫は保管費用や管理コストを増大させ、資金繰りを悪化させる要因となります。 定期的な棚卸によって帳簿在庫の精度を維持し、適正な在庫水準を保つことが求められます。

棚卸で帳簿在庫と実数が合わない主な原因

棚卸を実施すると、帳簿在庫と実地在庫の数量が一致しない「棚卸差異」が発見されることが少なくありません。 この差異が発生する原因は多岐にわたりますが、大きく分けると、入力ミスなどの人為的なもの、商品の破損や紛失といった物理的なもの、そして仕入先とのやり取りに起因するものなどが考えられます。 

ここでは、差異が発生する主な原因を具体的に見ていきます。

入力ミスや計上漏れといった人為的なエラー

帳簿在庫と実地在庫の差異が生じる最も一般的な原因は、人為的なミス、すなわちヒューマンエラーです。 例えば、商品の入出庫時に数量や品番を誤ってシステムに入力する、伝票の処理を忘れて計上漏れが発生する、といったケースが挙げられます。 

特に、手作業でのデータ入力や複数の担当者による伝票処理が行われている環境では、こうしたミスが起こりやすくなります。 また、返品処理の遅れや入力漏れも、帳簿上の在庫数を不正確にする一因です。 これらのエラーは、作業手順の見直しや担当者への教育を徹底することで、ある程度は防ぐことが可能です。

商品の破損・紛失・盗難による数の減少

倉庫内での商品の物理的な変動も、棚卸差異の大きな原因となります。 商品を移動させる際の落下による破損や、保管状態の悪化による品質劣化は、販売できない在庫となり、帳簿から除外する必要があります。 しかし、その処理が適切に行われないと、データ上は存在するのに実際にはないという差異が生じます。 

また、管理体制が不十分な場合、商品の紛失や内部・外部による盗難が発生するリスクも無視できません。 これらの物理的な在庫の減少は、帳簿データには即座に反映されないため、棚卸を行うまで気づかれないケースが多く見られます。

 

仕入先からの納品数量の間違い

棚卸差異の原因は、自社内だけでなく、外部の要因によって引き起こされることもあります。 その代表例が、仕入先からの納品ミスです。 発注した数量と実際に納品された数量が異なっているにもかかわらず、検品が不十分で発注書通りの数量で入庫処理をしてしまうと、その時点で帳簿在庫と実地在庫の間にズレが生じます。 

納品された商品に不良品が混入していた場合も同様です。 仕入れ時の検品体制を強化し、納品書と現物を正確に照合するルールを徹底することが、こうした外部要因による差異を防ぐための重要な対策となります。

帳簿在庫と実地在庫の差異を調整する会計処理の手順

棚卸の結果、帳簿在庫と実地在庫の間に差異が確認された場合、その差異を会計帳簿に正しく反映させるための会計処理が必要です。 この処理を怠ると、企業の財政状態や経営成績が実態と乖離してしまい、正確な経営判断ができなくなります。 

ここでは、差異が発覚してから会計処理を完了するまでの具体的な手順を解説します。

ステップ1:棚卸差異報告書を作成し原因を調査する

棚卸で差異が判明した場合、差異の内容を客観的に把握し、関係者間で情報共有を行うため「棚卸差異報告書」を作成することが推奨されます。この報告書には、差異が生じた商品の品目、帳簿上の在庫数、実際の在庫数、そして差異の数量と金額などを詳細に記載します。 

その上で、なぜ差異が発生したのか、原因の調査を進めます。伝票の入力ミスや計上漏れがないか、商品の移動記録は正しいかなどを確認し、原因を特定する努力が求められます。原因が判明すれば、再発防止策を講じるための重要な情報となります。

ステップ2:原因不明の在庫不足は棚卸減耗損として処理する

在庫差異の原因を調査しても、紛失や盗難など、理由が特定できない在庫不足が発生することがあります。 このような原因不明の在庫減少によって生じた損失は、会計上「棚卸減耗損」という勘定科目を使って費用として処理します。 この処理は、決算時に行われるのが一般的です。 

棚卸減耗損は、売上原価の内訳科目として計上されるか、営業外費用として計上されます。 ただし、企業の正常な営業活動の範囲内で経常的に発生する程度の減耗であれば、売上原価として処理することが多いです。 この会計処理により、帳簿上の在庫数量を実地棚卸で確定した数量に修正します。

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ステップ3:商品の価値低下は商品評価損として計上する

在庫の数量は合っていても、破損、汚損、あるいは流行の終焉といった理由で商品の市場価値が仕入時の原価よりも著しく低下している場合があります。 このような在庫の価値の低下による損失は、「商品評価損」として会計処理を行います。 

商品評価損は、期末の決算整理仕訳において、売上原価の内訳科目または特別損失として計上されるのが一般的です。 この処理を行うことで、在庫の資産価値を時価に基づいて正しく評価し直し、企業の財政状態をより実態に即した形で報告することが可能になります。 数量の差異だけでなく、価値の変動にも注意を払うことが重要です。

帳簿在庫の精度を向上させるための3つの対策

精度向上のためには、単に棚卸を繰り返すだけでなく、業務プロセスそのものを見直し、体系的な対策を講じる必要があります。 ここでは、帳簿在庫の精度を高めるために有効な3つの具体的な対策、すなわち定期的な棚卸の実施、業務ルールの明確化、そして在庫管理システムの導入について解説します。

定期的に棚卸を実施して差異を最小限に抑える

帳簿在庫の精度を維持するための最も基本的な対策は、定期的な棚卸の実施です。 年に1〜2回の期末棚卸だけでは、差異が拡大してしまい、原因の特定も困難になります。 そこで、月次や週次といった短いサイクルで特定のエリアや品目ごとに行う「循環棚卸」を取り入れることが有効です。 

循環棚卸を導入すると、差異を早期に発見できるため、原因究明が容易になり、迅速な是正措置が可能となります。 また、全社的な業務停止を伴う一斉棚卸に比べて現場の負担も軽減できます。 頻繁に在庫状況を確認する体制を整えることで、差異の発生そのものを抑制する効果も期待できます。

在庫管理の業務ルールを明確化して社内で共有する

人為的ミスによる差異を減らすためには、在庫管理に関する業務ルールを明確に定め、社内全体で共有することが不可欠です。 例えば、商品の入出庫時の検品手順、伝票の起票・承認プロセス、保管場所のロケーション管理方法など、作業の標準化を図ります。 ルールは誰が読んでも理解できるようにマニュアル化し、新入社員や担当者が変わった際にもスムーズに引き継げる体制を構築しておくべきです。 また、ルールを定めるだけでなく、なぜそのルールが必要なのかという目的意識を全従業員で共有することで、ルールの遵守率が高まり、組織全体の在庫管理に対する意識も向上します。

在庫管理システムを導入してヒューマンエラーを減らす

手作業による在庫管理には、入力ミスや計上漏れといったヒューマンエラーが付きものです。 これらの問題を根本的に解決し、帳簿在庫の精度を飛躍的に向上させるためには、在庫管理システムの導入が極めて有効な手段となります。 ハンディターミナルやバーコードを活用することで、入出庫作業を自動化し、手入力によるミスを大幅に削減できます。 また、システムを導入すれば、在庫データをリアルタイムで一元管理できるようになり、常に正確な在庫状況を把握できます。 これにより、適正な発注や生産計画の立案が可能となり、欠品や過剰在庫のリスクを低減させます。

 

まとめ

帳簿在庫は、帳簿やシステム上で管理される理論上の在庫数であり、企業の利益計算や販売戦略の基盤となる重要なデータです。 この帳簿在庫と、棚卸によって把握される実地在庫との間に生じる差異は、入力ミスや商品の破損など、さまざまな原因によって発生します。 

差異が生じた場合は、その原因を調査し、棚卸減耗損や商品評価損といった勘定科目を用いて適切に会計処理を行う必要があります。 在庫管理の精度を高めるためには、定期的な棚卸の実施、業務ルールの明確化、そして在庫管理システムの導入といった対策が有効です。

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執筆者:アトムエンジニアリング コラム編集室|K氏

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