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ITFコードとは?JANコードとの違いや集合包装での使い方を解説
ITFコードは、主に段ボールなどの集合包装単位で使用される商品識別コードです。 単品の商品に使われるJANコードを元に生成され、物流の現場で商品の入出荷や在庫を管理する用途で活用されています。 ITFコードは、JANコードとは異なり、印刷が不鮮明でも読み取りやすいという特徴を持ち、効率的な検品作業を実現するために重要な役割を担っています。
ITFコードとは?物流で使われる集合包装用商品コード
ITFコードは「Interleaved Two of Five」の略称で、物流用の商品コードとして国際的に利用されているバーコード規格です。 日本ではJIS規格(JIS-X-0502)にも制定されています。 このコードの仕組みは、5本のバー(またはスペース)のうち2本が太いことで1つの数字を表現しており、主に段ボールのような集合包装の商品を識別するために使用されます。 単品商品に表示されるJANコードとは異なり、物流センターや倉庫での入出荷検品や在庫管理といった工程で、商品を効率的に管理することを目的としています。
ITFコードの構成要素とキャラクタの意味
一般的に物流で使われる14桁のITFコードの場合、1桁目は「物流識別子」と呼ばれ、梱包されている商品の入り数などを示す意味を持ちます。 続く12桁は単品のJANコード、最後の1桁がチェックデジットです。 このチェックデジットは、定められた計算方法によって算出され、バーコードが正しく読み取られたかを確認する役割を担っています。
ITFコードの主な種類
ITFコードには、用途に応じていくつかの種類が存在します。 最も広く利用されているのが、14桁で構成される標準タイプの「ITF-14」です。 これは、集合包装用商品コードとして国際標準のルールに基づいており、物流の現場で一般的に見られます。 その他に、重量や個数といった補助的な情報を表すための「ITF-6」というアドオンバージョンも存在します。 これらの種類を正しく理解し、目的に応じて使い分けることが、円滑な物流管理につながる一例です。
標準的に使われるITF-14
ITF-14は、集合包装用商品コードとして国際的に標準化されている14桁のバーコードです。 このコードは、先頭の1桁が「物流識別子」、続く12桁が商品JANコード(短縮JANの場合は8桁の先頭に0を4つ付加)、最後の1桁が「チェックデジット」という構成になっています。 物流識別子は、同じ商品でも梱包形態が異なる場合(例:6個入りと12個入り)に、それぞれを区別するために設定される数字です。 ITF-14を段ボールに表示することで、梱包された状態のまま中身の商品情報を識別でき、入出荷検品や在庫管理の作業を迅速かつ正確に行うことが可能になります。
補助的に使われるITF-6(アドオンバージョン)
ITF-6は、6桁で構成されるアドオン(追加型)のバーコードで、計量商品などに重量といった補助的な情報を表示する目的で使用されます。 例えば、段ボールに梱包された食肉の総重量など、個体ごとに変動する情報をコード化する際に活用されます。 ITF-14のような商品識別コードと併記することで、物流段階でより詳細な商品情報を管理できるようになります。 ただし、その利用は限定的であり、取引先との合意のもとで運用されるのが一般的です。
ITFコードとJANコードの明確な違いを解説
ITFコードとJANコードの最も明確な違いは、その利用対象と目的にあります。 JANコードが消費者が購入する単品商品に表示され、POSレジでの販売情報管理に使われるのに対し、ITFコードは複数の商品が入った段ボールなどの集合包装に表示され、物流センターや倉庫での検品・在庫管理に使用されます。 ITFコードはJANコードを元データとして作成されますが、梱包内の入り数を示す「物流識別子」を先頭に付加する点が異なります。 例えば、JANコードを持つ商品を複数梱包した場合、その集合包装には物流識別子をつけたITFコードが印字されます。
ITFコードを導入するメリット
ITFコードを導入するメリットはいくつかあります。以下では具体的に解説します。
多少印字が荒くても読み取りやすい
ITFコードは、5本のバーと5本のスペースのうち、それぞれ2本が太いという構成で数字を表現する仕組みを持っています。 この構造により、バーの幅が多少変動しても情報の判別がしやすく、印字品質が低い場合でも高い認識率を維持できます。 そのため、インクがにじみやすい段ボールへの直接印字にも適しています。 さらに、バーコードの上下左右を「ベアラーバー」と呼ばれる太い枠で囲むことが推奨されており、この枠が印刷時の圧力を均等にし、バーの歪みを防ぐ役割を果たします。 これにより、読み取り精度をさらに高めることが可能です。
大きなバーコードで遠くからでもスキャン可能
ITFコードは、JANコードと比較してバーコードのサイズに関する規定の自由度が高いという特徴があります。 特に、バーの長さや全体の高さを大きく印刷することが可能で、推奨される寸法範囲も広く設定されています。 このため、倉庫の高い棚に置かれた段ボールや、フォークリフトに乗ったままのパレット上の商品でも、離れた位置からバーコードスキャナで容易に読み取れます。 大きなサイズで印刷されたバーコードは、作業者が商品に近づく手間を省き、スキャン作業の迅速化と安全性の向上に直接的に貢献します。
ITFコードを利用する際の注意点(デメリット)
ITFコードは物流現場で多くのメリットを提供する一方、利用時にはいくつかの注意点が存在します。
桁落ち(読み取りエラー)が発生する可能性がある
ITFコードの構造上、バーコードリーダーの走査線がバーコードの一部しか通過しない場合、本来の桁数より少ない桁数でデータが読み取られてしまう「桁落ち」という現象が発生することがあります。 例えば、14桁のコードが4桁として誤読されるケースなどが考えられます。 この問題は、JANコードのように桁数が固定されていないバーコードで起こりやすく、誤ったデータがシステムに登録される原因となります。 対策として、ベアラーバーでバーコード全体を囲んで走査範囲を明確にしたり、読み取り側のスキャナで読み取る桁数を固定設定したりする方法があります。 桁落ちしても読み取れないわけではないため、意図しないデータ登録を防ぐ仕組みが求められます。
コードの桁数は偶数に限定される
ITFコードは、2つの数字を1ペアとしてバーとスペースのパターンに変換する仕組みを採用しています。 このため、コード化するデータ全体の桁数は、必ず偶数でなければならないという制約があります。 もし、商品コードなどが奇数桁であった場合は、先頭に「0」を1つ追加して全体の桁数を偶数に調整する必要があります。 このルールを知らずに奇数の桁数でバーコードを生成しようとすると、システムエラーが発生したり、意図しないコードが作成されたりする原因となります。 運用にあたっては、この桁数に関する制約を常に念頭に置くことが不可欠です。
ITFコードの正しい印刷方法と表示位置
ITFコードを物流現場で確実に活用するためには、適切な印刷と表示が不可欠です。 段ボールへの表示位置は、荷役作業者がスキャンしやすいように、箱の側面下部に印刷するのが一般的です。 国際的なガイドラインでは、箱の底面から32mm、角から19mm以上離れた位置が推奨されています。 また、印字品質を保つために、バーコードの上下左右を「ベアラーバー」と呼ばれる黒い枠で囲むことが強く推奨されます。 このベアラーバーは、印刷時の圧力を均一にし、バーの歪みを防ぐ効果があります。 これらのルールに従うことで、ITFコードの位置や品質が安定し、読み取り精度が向上します。
まとめ
ITFコードは、段ボールなどの集合包装単位で商品を管理するために標準化された物流用のバーコードです。 単品商品に使われるJANコードを元に生成され、印字品質が多少悪くても読み取りやすいという大きな利点があります。 その一方で、桁落ちのリスクや桁数が偶数に限定されるといった注意点も存在します。 物流業務の効率化を実現するためには、ITFコードの特性を正しく理解し、ベアラーバーの設定や印刷位置といった規定を守りながら適切に運用することが求められます。


